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職業倫理シリーズ NO.12

6.利益相反の防止および開示等

基準6(1) 会員は、公正かつ客観的な証券分析業務の遂行を阻害すると合理的に判断される事項を、顧客に開示しなければならない。

〔趣旨〕
 信任義務を負っている会員は、本来、客観性と公平性を阻害する可能性があるような状況下に自己を置かないように努力をする必要がある。しかし、本人が意図するかどうかにかかわらず、顧客の利益と会員の利益が相反(顧客に利益が生じると会員は損失を被り、逆に会員に利益が生じると顧客に利益が生じるような状況)する状況になる可能性がある。このような場合には、当該状況を顧客に開示させることによって、投資推奨や投資管理等の証券分析業務の受入の判断を顧客に判断してもらうことを要請したものである。

〔留意点〕
 会員が証券の発行者たる会社の役員に就任している場合や証券の発行者たる会社とコンサルタント契約を締結している場合などが該当。当然、会員が証券の発行者たる会社へ個人的に投資している場合も該当(基準6(2)の但書)。

基準6(2) 証券分析業務のうち顧客に対する投資情報の提供または投資推奨(以下「投資推奨等」という。)の業務に従事する会員は、顧客に投資推奨等を行う証券の実質的保有をしてはならない。ただし、公正かつ客観的な証券分析業務の遂行が阻害されることがないと合理的に判断される場合において、投資推奨等において当該証券の実質的保有の事実が顧客に開示されるときは、この限りでない。

〔趣旨〕
 信任義務を負っている会員は、証券分析業務の客観性、公平性を守り、また同業務に投資家の信頼を確保する観点から、投資推奨等の業務に従事する会員が担当証券に個人的投資することを防止する規制。但し、全面的に規制すると合理的ではない場合(相続で取得した場合など)もあることから、例外として取得を認めている。

〔留意点〕
原則:会員の個人的投資の禁止
例外:相続、贈与、所属会社の厳格なルール下での保有などは認められる。この場合には顧客への情報開示が必要となる。なお、短期の売買を目的としないで投資推奨等の方向と整合性がある場合、担当証券の実質的保有開始時期が当該企業の担当前である場合なども認められている。
なお、投資推奨を行う会員では、例外で保有する場合であっても、自己が行った投資推奨と逆に売買することは認められていない。

〔事例〕
・ 投資推奨先である会社の株式を相続したがその事実を顧客に開示していない場合。
・ 義父の名義を借用して、投資レポート担当会社の証券を売買している場合(合理的理由がない場合)。
・ 義父の名義を借用して、合理的理由がある場合に投資レポート担当会社の証券を売買しており、かつ、顧客への当該情報開示がない場合。

基準6(3)  投資推奨等の業務に従事する会員は、投資推奨等を行う場合は、自己が実質的保有しまたはそれが見込まれる証券の取引に優先して、顧客が当該投資推奨等に基づいて取引を行うことができるよう、十分な機会を与えなければならない。

〔趣旨〕
 基準6(2)の但書に基づいて実質的の保有する証券等について、会員が自ら投資推奨等の対象になる証券と同一の銘柄の証券について個人的な取引をする場合には、顧客が投資投資推奨等に基づいて優先して取引を行うことができるように十分な機会を与えた後でなければ、会員自身の取引を行ってはならないとの趣旨。

〔留意点〕
 投資推奨等を行う場合:特定の証券に対して投資推奨を行うことを意思決定した以降。調査レポート作成段階も含む。
十分な機会:提供手段の状況に応じて必要と判断される合理的な時間を自主的に定めた期間。

〔事例〕
・ 調査レポートを作成している段階でその対象銘柄を購入する場合。

基準6(4) 投資管理業務に従事する会員は、自己が実質的保有をしまたはそれが見込まれる証券の取引が、自己の関与する運用財産において行う取引の利益を損なうことがないよう、当該運用財産のための取引を自己の取引に優先させなければならない。

〔趣旨〕
 投資管理業務に従事する会員に対し、基準6(3)と同様の趣旨で規定したものである。

〔事例〕
・ 急落が確定的な株式がある状況で、会員の自己の株式をまず売却し、その後、顧客へ連絡して売却を勧める場合。
・ 上昇が確実と思われる情報を入手した状況で、会員がまず当該株式を購入し、その後に自己が管理するファンドに組入れ場合。

基準6(5)  会員は、顧客が同意した場合を除き、顧客との取引において当事者となりまたは自己の利害関係者の代理人となってはならない。

〔趣旨〕
 顧客の取引の相手方(又は代理人)になることを防止することで、顧客の利益を最善にすることを規定したものである。つまり、顧客が株式等を誰かに売却する場合、その相手方に会員がなると、顧客を騙したりする可能性を事前に防止しようとしたものである。

〔留意点〕
 自己の利害関係者:会員と一緒に生活している者など。なお、会員が役員である法人も当該利害関係者。

〔事例〕
・ 顧客が証券口座を解約する際、勝手に顧客保有の株式を会員が買い取り、顧客の口座に金銭を入金した場合。
・ 生計を一にする義理の父の会社の新株発行に際し、自己が行っているファンドで引き受ける場合。

基準6(6) 会員は、1.のほか次の事項を顧客に開示しなければならない。
イ.会員が、その顧客に対して提供した証券分析業務の対価として、自己の所属する会社または団体以外から収受しまたは収受することを約束したあらゆる報酬
ロ.会員が、その顧客に第三者の役務提供を受けることを推奨すること、またはその顧客を第三者に紹介することに関して収受しもしくは収受することを約束した、すべての報酬

〔趣旨〕
イ.自己の所属する会社または団体以外から収受しまたは収受することを約束した報酬を受け取る場合は、その報酬提供者への配慮から証券分析業の客観性、公正性を損なうおそれがあるため規定された。
ロ.紹介料の受け取りの場合の規定である。

〔事例〕
・ 販売量に応じて報酬がもらえるファンドを顧客のポートフォリオに当該ファンドを組み込んだ。ファンドを組み込むことにより、当該ファンド会社から会員が報酬をもらえることになっているが、これについて顧客へ情報を開示していない場合。
・ 投資レポートの対象となる会社の視察時に、その渡航費や現地でのホテル代などを投資レポートの対象となる会社から負担してもらったが、その事実を開示していない場合。

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